【押印と捺印】の違いと使い分け／法的効力と使用場面

「押印」と「捺印」は、どちらも書類に印鑑を押す行為を指す言葉ですが、

それぞれの意味や法的な扱いには違いがあります。

本記事では、これらの違いを明確にし、

適切な場面での使い分けについて詳細に解説します。

【押印と捺印】の定義と基本的な違い

「押印」と「捺印」は、書類に対して印鑑を押す行為という点では共通していますが、

実際には異なる場面で使われます。

種類	定義	使用場面の例
押印	自署以外の方法で記名された 名前の横に印鑑を押す行為 （記名押印）。 自署が含まれないため、 証拠力はやや低いとされる。	会社の定型文書や 契約書などで、 あらかじめ印刷された 名前の横に捺印を行う場合。
捺印	自署の横に印鑑を押す行為 （署名捺印）。 自署が含まれるため、 証拠力が高いとされる。	個人契約書や重要な文書で、 署名と共に捺印を行う場合。

【押印と捺印】の法的効力の違い

「押印」と「捺印」には

以下のような法的効力（証拠能力）の違いがあるため、

契約内容に応じた使い分けが重要です。

種類	証拠能力	理由
押印	中程度	記名された書類に印鑑を押すだけ なので、第三者による偽造が 可能であり、証拠力は捺印に 比べてやや低い。
捺印	高い	自署が含まれるため、 筆跡鑑定による本人確認が 容易であり、 法的に強力な証拠とされる。

【押印と捺印】の使い分けと注意点

【押印と捺印】の使い分け方

押印と捺印の使い分け方は次の通りです。

種類	使用場面の例	説明
押印	日常的な文書	名刺交換の記録や、 領収書の受領といった 日常的な文書には、 押印で十分です。 これらは、法的な証拠力が そこまで問われる場面では ないため、手軽さが優先されます。
捺印	契約書	法的効力が強く求められる 契約書には、捺印が推奨されます。 特に、個人間の重要な契約や、 契約の争点となる可能性がある場合は、署名と共に捺印を行うことで 証拠力が高まります。
	企業間取引	企業間取引においても、 契約書や重要な合意文書には 捺印が適していますが、 会社の定型文書や通常の業務報告書 には押印で対応することが 一般的です。

【押印と捺印】の注意点

注意点	説明
印鑑の管理	押印や捺印に使う印鑑は、 しっかりと管理する必要があります。 特に、捺印に使う印鑑は法的な証拠力が高いため、 紛失や盗難に遭うと重大なリスクとなります。
署名の有無	捺印の場合、自署を伴うため、 自身の署名と印鑑を一貫して使用することが 信頼性の確保に繋がります。

まとめ～【押印と捺印】の違いと使い分け／印鑑を押す行為の違いと法的効力の違い

押印と捺印は、使用場面や法的効力に応じて使い分ける必要があります。

特に、法的な証拠力が求められる場合には捺印が推奨されますが、

日常的な業務や軽微な書類には押印が適していることが多いです。

適切な場面での使い分けが、書類の有効性を確保し、

トラブルを未然に防ぐために重要です。