
「共産主義」と「社会主義」の違いは
「段階と所有の考え方」で区別します。


「共産主義」と「社会主義」は、経済や政治の話題でよく登場する言葉ですが、
その違いは分かりにくいと感じる人も多いでしょう。
どちらも「資本主義」に対抗する思想であり、労働者の権利を守るために発展しました。
しかし、現在では純粋な「共産主義」を採用する国はなく、
「社会主義」も多くの国で形を変えています。
本記事では、「共産主義」と「社会主義」の違いを分かりやすく解説します。
「共産主義」と「社会主義」の違いー「段階の違い」
「共産主義」と「社会主義」は、どちらも資本主義に対抗する考え方ですが、
大きな違いは「移行の段階」にあります。
- 共産主義は、「最終的な理想社会」を目指し、「すべての財産を共有すること」を目的とします。
- 社会主義は、「共産主義への移行段階」として、「国家が経済を管理しながら平等」を目指します。
つまり、「社会主義は共産主義へのステップ」と考えることができます。
「共産主義」と「社会主義」の「所有の考え方」の違い
「共産主義」と「社会主義」の所有の考え方の違いについて一覧表にしました。
共産主義 | 社会主義 | |
目的 | 私有財産を完全になくし、すべてを共有する | 国家が生産手段を管理し、平等な分配を目指す |
経済システム | 完全な計画経済(国がすべてを管理) | 計画経済 + 市場経済(自由市場を一部許容) |
富の分配 | 完全な平等(能力に関係なく均等) | 労働に応じて分配 |
共産主義では「すべてを共有する」ことを目指し、国家の消滅が理想とされます。
一方、社会主義では国家が経済を統制しながら、ある程度の市場経済を許容することが特徴です。
「資本主義」と「共産主義・社会主義」の関係
「共産主義」と「社会主義」は、どちらも「資本主義」に対する考え方から生まれました。
資本主義 | 社会主義 | 共産主義 | |
所有 | 個人が自由に財産を持つ | 主要な産業は国が管理 | すべての財産を共有 |
経済システム | 自由市場経済 | 計画経済 + 市場経済 | 完全な計画経済 |
格差 | 貧富の差がある | 一定の平等を目指す | 完全な平等 |
資本主義では個人が自由に財産を持つことができ、競争によって経済が成長します。
しかし、「貧富の差」が発生するため、それを是正するために「社会主義」や「共産主義」の思想が登場しました。
「共産主義」と「社会主義」の歴史的背景
「共産主義」の理論と実践
共産主義の理論の基礎を作ったのは、19世紀の思想家「カール・マルクス」です。
彼は資本主義を批判し、労働者が団結して社会を変革すべきだと主張しました。
- 労働者と資本家の対立:資本家は労働者を搾取し、不平等が生まれる。
- 革命による社会の変革:労働者が資本家を打倒し、すべての財産を共有する社会を作るべき。
- 国家の消滅:最終的には国家も必要なくなる理想社会(共産主義)が実現する。
しかし、実際の共産主義国家(ソ連、中国など)は、国家が強力な権力を持ち、独裁的な体制になりました。
そのため、理想と現実には大きなギャップがありました。
「社会主義」の発展
社会主義は、共産主義と異なり、国家が経済を管理しながらも、
市場経済を部分的に取り入れることが多いです。
代表的な「社会主義国」として、次のような国々があります。
国名 | 特徴 |
ソ連(旧ソビエト連邦) | 計画経済を導入し、一時は経済成長したが、後に停滞し崩壊。 |
中国 | 1978年以降「改革開放」で市場経済を導入し、経済成長。 |
北欧諸国(スウェーデン・デンマークなど) | 「社会民主主義」を採用し、市場経済と福祉政策を組み合わせる。 |
現代における「共産主義」と「社会主義」の位置づけ
現代の「社会主義国」の特徴
現在、純粋な共産主義国家は存在しませんが、社会主義を部分的に取り入れた国は多くあります。
- 経済:市場経済を導入しながらも、政府の強い管理がある「国家資本主義」。
- 政治:共産党の一党独裁が続いている。
- 経済:自由市場を活用しつつ、福祉制度を充実させた「社会民主主義」。
- 政治:民主主義が維持されている。
このように、現代の社会主義国は、
完全な国有化ではなく、市場経済を取り入れた形に変化しています。
まとめ – 「共産主義と社会主義」の違い / 「段階と所有の考え方」で区別
「共産主義」と「社会主義」は、どちらも「資本主義」に対抗する思想ですが、目的や実践方法に違いがあります。
共産主義は、最終的な理想社会として、すべての財産を共有する。
社会主義は、共産主義への移行段階として、国家が経済を管理する。
現在では、純粋な共産主義は実現せず、多くの国が市場経済と社会主義の要素を組み合わせています。
歴史を振り返ることで、それぞれのシステムの利点と課題を理解し、現代社会のあり方を考えることができます。

