
「国民年金」と「厚生年金」の違いは、
「加入対象の違い」で区別します。




日本の公的年金制度には「国民年金」と「厚生年金」の2種類があります。
これらはどちらも老後の生活を支える重要な制度ですが、
加入対象者や保険料の仕組み、将来の受給額などに違いがあります。
本記事では、それぞれの年金制度の特徴を比較し、違いを明確に解説します。
「国民年金」と「厚生年金」の違い
公的年金制度は「2階建て」の仕組みになっています。
「国民年金」は1階部分にあたり、日本国内に住むすべての20歳以上60歳未満の人が加入する制度です。
「厚生年金」は2階部分にあたり、会社員や公務員など、一定の条件を満たした人が加入します。
下記にそれぞれの違いを表にしました。
項目 | 国民年金 | 厚生年金 |
対象者 | 自営業者、学生、無職の人など | 会社員、公務員、一定のパート・アルバイト |
保険料 | 一律 (年度ごとに決定) | 収入に応じて変動 (給与・賞与の一定割合) |
保険料負担 | 加入者が全額負担 | 会社と加入者が折半負担 |
最低加入期間 | 10年 | 国民年金を10年以上加入していれば1カ月以上 |
受給額 | 加入期間に応じて一定額 | 収入と加入期間に応じて異なる |
遺族年金 | 配偶者(子がいる場合のみ) または子 | 配偶者、子、父母、孫、祖父母 (優先順位あり) |
扶養制度 | なし | あり |
「国民年金」とは?―意味と特徴
「国民年金」は、日本国内に住んでいる20歳以上60歳未満のすべての人が加入する年金制度で、
基礎年金とも呼ばれます。
主に自営業者や学生、無職の人が単独で加入する制度です。
「国民年金」の特徴
下記に「国民年金」の特徴を記載します。
- 保険料:年度ごとに決定され、2024年度は月額16,980円。
- 保険料の支払い方法:現金、口座振替、キャッシュレス決済など。
- 受給額:保険料の納付期間に応じて決まる。
「厚生年金」とは?―意味と特徴
「厚生年金」は、会社員や公務員が「国民年金」に上乗せして加入する年金制度です。
厚生年金に加入すると、自動的に国民年金にも加入することになります。
厚生年金の特徴
下記に「厚生年金」の特徴を記載します。
- 保険料:給与・賞与に応じて変動。
- 保険料負担:会社と加入者が折半。
- 支払い方法:給与・賞与から天引き。
- 受給額:収入と加入期間に応じて決まる。
- 扶養制度:一定の条件を満たせば配偶者が「第3号被保険者」となり、保険料負担なしで国民年金に加入可能。
「企業年金」、「国民年金基金」との違い
年金制度には、「企業年金」や「国民年金基金」などの追加的な年金制度も存在します。
「厚生年金」と「企業年金」の違い
「企業年金」は、「厚生年金」に上乗せして支給される年金制度で、企業が独自に設けるものです。
公務員には「共済年金」がかつて存在しましたが、現在は「厚生年金」に統合されています。
「国民年金」と「国民年金基金」の違い
「国民年金基金」は、自営業者が国民年金に上乗せして加入できる制度で、
保険料を追加で納めることで、将来の受給額を増やすことができます。
まとめー「国民年金」と「厚生年金」の違い/「加入対象の違い」で区別
「国民年金」と「厚生年金」は、公的年金制度の基本となる仕組みですが、
加入対象や保険料、将来の受給額などに大きな違いがあります。
「厚生年金」は「国民年金」に上乗せされる形で運用され、
会社員や公務員は両方の年金を受給できます。
一方、自営業者や学生は「国民年金」のみの加入となります。
老後の生活設計を考える際には、これらの違いを理解し、
必要に応じて「企業年金」や「国民年金基金」などの追加制度の利用を検討することが重要です。



