
【上る・登る・昇る】の違いと使い分けは、
「動き方」と「対象」の違いで区別します。


「上る」「登る」「昇る」は、いずれも「のぼる」と読む言葉ですが、
意味や使い方に明確な違いがあります。
本記事では、それぞれの言葉が表す「動き方」と「対象」の違いに注目し、
使い分けを例文を使ってわかりやすく解説します。
目次
「上る」「登る」「昇る」の意味と使い分け
「上る」-広義の意味で「高いところに移動する」
「上る」は、最も汎用性が高く、日常的に使われ、
単に「低いところから高いところへ移動する」こと全般を表します。
また、抽象的な数量や話題などにも使われます。
- 坂を「上る」と足が疲れる。
- 売上が1億円に「上った」。
- 会議の議題に「上る」話だ。
「登る」-いつも以上の力で、具体的な高所への到達を示す
「登る」は、険しい場所等、非日常的な場所にのぼる場面に使われ、
「よじ登る」ようなイメージが強調されます。
山、木、壇上などに使われます。
また、「出世の階段」等、比喩的に使われる場合もあります。
- 富士山に「登る」のが夢です。
- 子どもが木に「登って」遊んでいる。
- 投手がマウンドに「登る」。
「昇る」-空や地位など抽象的対象に使う
「昇る」は、空中を上へ一気に移動する動きや、地位や精神的な高まりを示すときに使われます。
自然現象や気体、社会的立場などに使われます。
- 太陽が東から「昇る」。
- 煙が天に「昇る」。
- 彼は役員にまで「昇った」。
- スカイツリーの展望台にエレベーターで「昇った」。
類義語との違い
「上がる(あがる)」との違い
「上がる(あがる)」も「のぼる」と同様の意味を持ちますが、
自動詞として使われることが多く、日常会話でより口語的です。
動作や状態が主語だけで完結し、目的語を取らない動詞を指します。
簡単に言えば、「〜を」がつかない動詞が自動詞です。
反対に、「〜を」が必要な動詞は他動詞です(例:本を読む)
階段を「上る(のぼる)」/ 階段を「上がる(あがる)」(文語として不自然)
気温が「上がる(あがる)」/ 気温が「上る(のぼる)」(やや不自然)
「昇進」との関係
「昇進」は、「昇る」が使われており、地位が上がることを意味します。
「上る」や「登る」では表せません。
英語での表現と例文
以下に、英語での表現と例文を記載します。
日本語 | 英語の表現 | 例文 |
上る | go up / rise / amount to | Go up the stairs. (階段を上る) |
登る | climb / ascend | Climb the mountain. (山を登る) |
昇る | rise / ascend | The sun rises. (日が昇る) |
まとめ‐【上る・登る・昇る】の違いと使い分け/「動き方」と「対象」の違いで区別
「上る」「登る」「昇る」は、どれも「のぼる」と読む言葉ですが、動き方と対象に違いがあります。
「上る」は広く一般的な上昇を表し、「登る」は目的地への踏み込み、
「昇る」は抽象的・空への上昇を示します。
正しく使い分けることで、文章に深みが増し、自然な日本語表現となるでしょう。

