【指示、指図、命令、指導、指南】の違いと使い分け/「目的・強制力・受け手の感情」の違いで区別

「指示」「指図」「命令」「指導」「指南」の違いと使い分けは、
「目的・強制力・受け手の感情」の違いで区別します。

「指示」「指図」「命令」「指導」「指南」の違いと使い分け/「目的・強制力・受け手の感情」の違いで区別
「指示」「指図」「命令」「指導」「指南」の違いと使い分け/「目的・強制力・受け手の感情」の違いで区別
用語目的強制/教育受け手の感情
指示行動させる強制  受け入れやすい
指図反発を招くことがある
命令従わざるえない
指導成長させる教育  信頼や納得感がある
指南敬意をもって学ぶ
「指示」「指図」「命令」「指導」「指南」の違いと使い分け/「目的・強制力・受け手の感情」の違いで区別

人に何かを「やってほしい」と伝える際に使う「指示」「指図」「命令」「指導」「指南」には、

それぞれ異なるニュアンスや使い方があります。

同じように見えて、相手の感じ方や立場に応じた使い分けが求められる言葉です。

ここでは、それら5つの言葉の違いをわかりやすく整理し、

正確に使い分けるためのポイントと例文を交えて解説します。

目次

「指示」「指図」「命令」「指導」「指南」とは?

下記の表でそれぞれの言葉の意味を確認しましょう。

用語意味
指示具体的な行動を示すこと
指図細かく命令口調で動かすこと
命令強制的に従わせること
指導相手を育てるために導くこと
指南専門知識で導くアドバイスをすること
「指示」「指図」「命令」「指導」「指南」の意味

 ポイントは次の通りです。

  • 「指示・指図・命令」は「行動を求める」言葉。
  • 「指導・指南」は「成長や学びを促す」言葉です。

「指示」と「指図」の意味と使い分け

「指示」と「指図」はどちらも、誰かに行動を促すときに使われますが、

「指図」の方が強く命令的なニュアンスを持ち、反発を招くこともある点が特徴です。

補足

「指図」は多くの場合、言われた人の立場から使われ、
「あれこれ指図された」など受け手側の不快感を表すケースが多くなります。

「命令」と「指示」「指図」の違い

「命令」は上下関係を前提とした言い方で、

「指示」や「指図」よりもさらに強い強制力を持つ言葉です。

補足

「命令」は制度的・法律的な文脈でも用いられ、

「業務命令」「執行命令」など堅い表現としても登場します。

「指導」と「指南」の意味と対象

「指導」と「指南」は、いずれも相手を成長させるために教え導く言葉ですが、

対象や専門性、使われる場面に違いがあります。

補足

「指南」は「ご指南いただけると幸いです」のように、

目上の人に対して謙遜しながら使う場面が多く見られます。

「指示」「指図」「命令」「指導」「指南」の特徴

それぞれの意味と特徴をさらに具体的に下記の比較表に纏めました。

項目指示指図命令指導指南
意味行動ややり方を示す細かく口出しして行動を指定する上位者が強制的に行動を命じる教えて成長を促す専門的な技術・芸道を教え導く
強さ・強制力中程度
(事務的)
やや強い
(命令的)
非常に強い
(上下関係を前提)
弱め
(指導的・教育的)
弱め
(高い専門性に基づく)
ニュアンス仕事上の指導、冷静・理知的感情的・やや高圧的上からの圧力、絶対的親身、協力的、教育的敬意と専門性を伴う
使用場面ビジネス、行政、教育など広範囲家庭や現場作業、口論など感情が絡む場面軍隊、企業組織、法的命令など教育、職場での育成、コーチングなど武道、芸能、伝統文化、専門分野の教育
相手の反応受け入れやすい不快感や反発を招くことがある従わざるを得ない納得感がある、信頼が築かれる敬意をもって学ぶ
主な対象同僚、部下など一般的他人
(やや対等以下)
部下・下級者後輩・部下・学習者弟子・生徒・習得者
例文上司から資料作成の指示があった。母にあれこれと指図されてうんざりした。上官の命令には従うしかなかった。新人に営業の基本を指導した。茶道の所作についてご指南いただいた。
「指示」「指図」「命令」「指導」「指南」の特徴

補足ポイント

  • 「指示」「指図」「命令」 は「やれること」に対して「強制的に行動させる」場面で使われます(すでにできる前提)。
  • 「指導」「指南」 は「できないことをできるようにする」教育・学習の場面で使われます。
  • 「指図」はややネガティブな感情を伴う場面で使われ、「お前に指図されたくない」などの言い方をされやすいです。
  • 「指南」は格式や礼儀を重んじた使い方がされることが多く、「ご指南いただければ幸いです」などと丁寧な表現になります。

使い分けー例文集

それぞれの言葉を「ビジネス」「教育・スポーツ」「日常生活」の

3つのジャンルで使った例文をご紹介します。

下記の表にそれぞれのシーンでの使用例を示しました。

ビジネスシーン

用語例文
指示部長から新プロジェクトの進め方について指示を受けた。
指図課長が一から十まで細かく指図してくるので、やる気をなくした。
命令社長から「この取引を絶対にまとめろ」と命令された。
指導上司は新人の成長を見守りながら丁寧に指導していた。
指南経験豊富なコンサルタントが経営改善の指南をしてくれた。
「指示」「指図」「命令」「指導」「指南」の使用例(ビジネスシーン)

教育・スポーツの場面

用語例文
指示先生はテストの範囲について簡単に指示を出した。
指図キャプテンが全員に動き方を細かく指図したが、不満が出た。
命令監督は選手に「全力で走れ」と命令した。
指導コーチはフォームを根本から改善するよう指導してくれた。
指南一流選手が若手にスローイングの指南を行った。
「指示」「指図」「命令」「指導」「指南」の使用例(教育・スポーツの場面)

日常生活

用語例文
指示病院の受付で検査の手順を指示された。
指図妻に細かく家事を指図されてちょっとイラッとした。
命令父は昔ながらに「親の言うことは絶対だ」と命令する人だった。
指導子どもに宿題のやり方を優しく指導した。
指南茶道の先生に所作の基本をご指南いただいた。
「指示」「指図」「命令」「指導」「指南」の使用例(日常生活)

まとめー「指示」「指図」「命令」「指導」「指南」の違いと使い分け/「強制か教育か」、「目的」と「受け手の感情」の違いで区別

「指示」「指図」「命令」「指導」「指南」は、すべて「人に行動を促す」意味を持ちながらも、

その強さや目的、相手への配慮によって使い分けが必要な言葉です。

事務的で柔らかいのが「指示」、命令的で細かいのが「指図」、

強制力が最も強いのが「命令」、教育的で寄り添うのが「指導」、

そして専門的な技術を教えるのが「指南」です。

適切な言葉を選ぶことで、相手との信頼関係を築くことができます。

「指示」「指図」「命令」「指導」「指南」の違いと使い分け/「目的・強制力・受け手の感情」の違いで区別
「指示」「指図」「命令」「指導」「指南」の違いと使い分け/「目的・強制力・受け手の感情」の違いで区別
用語目的強制/教育受け手の感情
指示行動させる強制  受け入れやすい
指図反発を招くことがある
命令従わざるえない
指導成長させる教育  信頼や納得感がある
指南敬意をもって学ぶ
「指示」「指図」「命令」「指導」「指南」の違いと使い分け/「目的・強制力・受け手の感情」の違いで区別
目次