【理学療法士(PT)】 と 【作業療法士(OT)】 の違い/「リハビリの内容」の違いで区別

「理学療法士(PT)」 と 「作業療法士(OT)」 の違いは、
「リハビリの内容」の違いで区別します。

【理学療法士(PT)】 と 【作業療法士(OT)】 の違い/「リハビリの内容」の違いで区別
【理学療法士(PT)】 と 【作業療法士(OT)】 の違い/「リハビリの内容」の違いで区別

リハビリの専門職である「理学療法士(PT)」と「作業療法士(OT)」は、

どちらも国家資格が必要な職業であり、似たような現場で働いています。

しかし、その役割や対象、リハビリの内容には明確な違いがあります。

「PT」はPhysical Therapist(理学療法士)、

「OT」はOccupational Therapist(作業療法士)の略で、いずれも英語圏の職業名に由来します。

PT(理学療法士)は主に身体機能の回復を、

OT(作業療法士)は日常生活や社会参加の支援を目的とします。

日本でも戦後、アメリカのリハビリ制度を導入したことから、

これらの略称が広く使われるようになりました。

この記事では、それぞれの違いをわかりやすく解説します。

目次

「理学療法士(PT)」と「作業療法士(OT)」の違い

「仕事内容」の違い

「理学療法士(PT)」は、「立つ」「座る」「歩く」などの基本動作を中心としたリハビリを行います。

対象者の身体機能を改善し、日常生活での自立を支援することが目的です。

一方、「作業療法士(OT)」は、「食事をする」「入浴する」「仕事をする」など、

応用動作や社会的適応能力の回復を目指します。

心身の状態や生活背景に合わせ、その人らしい生活を送れるよう支援するのが特徴です。

項目理学療法士(PT)作業療法士(OT)
主なリハビリ内容基本動作(立つ・座る・歩くなど)の訓練応用動作(食事・入浴・仕事など)や社会的適応の支援
目的身体機能の改善と日常生活での自立支援その人らしい生活の実現と社会参加の支援
支援の特徴動作能力の回復に特化心身の状態や生活背景に応じた総合的支援
「仕事内容」の違い

「対象者」の違い

「理学療法士(PT)」は主に身体障害を持つ人に対しリハビリを行います。

スポーツ分野や高齢者の介護予防でも活躍します。

それに対し、「作業療法士(OT)」は身体障害だけでなく、精神障害や発達障害を持つ人も対象とします。

リハビリだけでなく、社会適応や就労支援まで幅広く対応するのが特徴です。

項目理学療法士(PT)作業療法士(OT)
主な対象身体に障害のある人身体・精神・発達に障害のある人
活躍の場医療、介護、スポーツ、介護予防医療、福祉、教育、就労支援など幅広い分野
支援の範囲身体機能の改善を中心にリハビリを実施心身の回復、生活・社会への適応まで包括的に支援
「対象者」の違い

「治療方法」の違い

以下の表に治療方法の違いを記載します。

項目理学療法士(PT)作業療法士(OT)
方法運動療法・物理療法生活行為を通じた作業療法
目的身体機能の回復応用的な生活能力の向上
アプローチ筋肉・関節への働きかけ日常行動や精神的ケアも含む
「治療方法」の違い

「働く場所」の違い

「理学療法士(PT)」は、病院やクリニック、福祉施設のほか、

スポーツチームやフィットネスクラブなど身体に特化した場所で活躍します。

一方「作業療法士(OT)」は、医療機関や福祉施設に加え、

発達障害児の療育センターや就労移行支援施設など、

社会復帰や教育に関わる分野でも多く活躍しています。

「国家資格」の試験内容と難易度の比較

両者とも国家資格であり、受験には専門の養成校で3年以上学ぶ必要があります。

試験科目には共通点も多く、以下のような科目が含まれます。

試験科目理学療法士(PT)作業療法士(OT)
解剖学・生理学・運動学・病理学概論
臨床心理学・リハビリ医学・臨床医学大要
理学療法
作業療法
「国家資格」の試験内容

国家試験の直近6年間の平均合格率は、理学療法士(PT)が約86.2%、

作業療法士(OT)が約83.6%と大きな差はありません。

「将来性」の違いと共通点

高齢化社会が進む中で、どちらの職種も医療・福祉・介護の現場で求められています。

特に、介護予防や地域包括ケアのニーズの高まりにより、

活躍の場は今後さらに広がっていくと考えられています。

また、正規雇用者の平均年収はどちらも約432万円程度で、安定した収入が見込める職業です。

「言語聴覚士」や「義肢装具士」とは?-「リハビリ職」全体で見た位置づけ

「理学療法士(PT)」と「作業療法士(OT)」以外にも、

リハビリの専門職として「言語聴覚士(ST)」や「義肢装具士(POまたはCPO)」などがあります。

言語聴覚士は「ST(Speech Therapist)」と略され、

話す・聞く・飲み込むといった機能のリハビリを担当します。

義肢装具士は「PO(Prosthetist and Orthotist)」と呼ばれ、

義足や装具の製作・調整を行う専門職です。

国際的には認定資格を示す「CPO(Certified Prosthetist and Orthotist)」も使われます。

これらの略称は、英語表記に基づき、

専門職の役割を簡潔に表すものとして医療現場などで使用されています。

職種主な役割
言語聴覚士(ST)言語・嚥下障害などのリハビリ
義肢装具士(PO/CPO)義手や義足などの作成・適合
理学療法士(PT)身体の基本動作を支援
作業療法士(OT)応用的な生活行為・精神面の支援
リハビリ職の種類と概要

まとめ‐「理学療法士(PT) と 作業療法士(OT)」 の違い/「リハビリの内容」の違いで区別

「理学療法士(PT)」は「立つ・座る・歩く」などの基本動作の回復を、

「作業療法士(OT)」は「食事・入浴・仕事・遊び」などの応用動作の回復を支援する専門職です。

対象やアプローチ、活躍の場には違いがありますが、どちらも人の生活に深く関わる大切な職業です。

ご自身の興味や支援したい対象を考慮して、将来の進路を選ぶ参考にしてください。

【理学療法士(PT)】 と 【作業療法士(OT)】 の違い/「リハビリの内容」の違いで区別
【理学療法士(PT)】 と 【作業療法士(OT)】 の違い/「リハビリの内容」の違いで区別
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