
「プロパンガス」と「都市ガス」の違いは、
「原料と供給方法」の違いで区別します。


都市の暮らしでも地方の暮らしでも、日常的に欠かせない「ガス」。
しかし、「プロパンガス」と「都市ガス」では、見えないところで大きな違いがあります。
本記事では、その主な違いをわかりやすく整理し、それぞれの特徴を比較していきます。
「プロパンガス」と「都市ガス」の違いとは?
「プロパンガス」と「都市ガス」の違いは、
主に「原料」・「供給方法」・「熱量」・「料金」・「使用可能なエリア」など、
生活に直結する要素にあります。
以下の表にまとめると、その違いは一目瞭然です。
プロパンガス | 都市ガス | |
原料 | 液化石油ガス(LPG) 主成分:プロパン・ブタン | 液化天然ガス(LNG) 主成分:メタン |
供給方法 | ガスボンベを設置し個別配送 | 地下の導管を通じて供給 |
熱量(1㎥あたり) | 高い(高火力) (約24,000kcal) | 低い(標準火力) (約10,750kcal) |
料金 | 高め (配送コストなどが影響) | 安価 (インフラ整備済み) |
使用エリア | 全国どこでも可能 | ガス管の整備された都市部のみ |
災害時の強さ | ボンベ単位で早期復旧が可能 | 地域一体での復旧が必要 |
ガス漏れの特徴 | 空気より重く低所に滞留 | 空気より軽く高所に滞留 |
それぞれの詳細を解説します。
「原料」の違い ―「液化石油ガス(LPG)」か「液化天然ガス(LNG)」か
プロパンガス(LPG)と都市ガス(LNG)の原料に関する情報をまとめました。
項目 | 液化石油ガス(LPG) | 液化天然ガス(LNG) |
成分 | プロパン、ブタンを主成分とする石油系ガス | メタンを主成分とする天然ガス |
液化条件 | 常温で加圧 | -162℃まで冷却 |
供給形態 | ガスボンベから供給 | 地下のガス管を通じて都市ガスとして供給 |
主な用途 | 家庭用ガス、工業用ガス、化学原料など | 火力発電、都市ガス |
特徴 | 空気より重く、発熱量が高い | 空気より軽い |
「供給方法」の違い ― 「個別配送」と「導管供給」
「供給方法」に注目すると、「プロパンガス」はガスボンベによる「個別配送」、
一方の「都市ガス」は「導管供給」となっています。
「プロパンガス」はボンベを各家庭に設置するため、山間部や離島などでも利用可能です。
一方、「都市ガス」は道路下に敷設されたガス管を通じて供給されるため、
インフラが整っている都市部に限定されます。
ガス管の敷設がない地域では都市ガスの使用はできません。
「熱量」の違い―「高火力」と「標準火力」の違い
同じ1㎥あたりの熱量を比べると、「プロパンガス」は「都市ガス」の約2倍以上の熱量を持ちます。
具体的には、プロパンガスが約24,000kcal、都市ガスが約10,750kcalです。
そのため、同じ調理器具を使ったとしても、理論上は「プロパンガス」の方が短時間で加熱できます。
ただし、実際のガス機器はそれぞれのガスに合わせて設計されているため、
使い勝手に大きな差は感じにくい場合もあります。
「料金」の違いとその理由 ― 「高コスト」と「低コスト」の違い
「プロパンガス」の料金は「都市ガス」に比べて高い傾向があります。
その理由は主に以下の通りです:
- プロパンガスは個別配送で人件費・輸送費がかかる
- 原料の調達コスト(輸入元の違い)
- 地域や業者によって価格が変動しやすい
対して、「都市ガス」はガス管による大量供給が可能なため、コストが抑えられています。
また、多くの地域で公的な価格調整が行われており、比較的安定した料金設定になっています。
「災害時対応力」の違い―「個別復旧」と「一斉復旧」の違い
「災害時」の対応力では、「プロパンガス」が優れています。
理由は、ボンベ単位で安全確認を行い、家ごとに供給再開が可能だからです。
大きな被害がなければ、非常に早い段階での復旧が期待できます。
一方、「都市ガス」は導管全体に影響が及ぶため、地域一帯の安全が確認されるまで復旧できません。
復旧までに時間がかかることが多く、避難所や仮設住宅では「プロパンガス」の利用が推奨されることもあります。
「ガス漏れの挙動」の違い―「重いガス」と「軽いガス」の違い
「ガス漏れ時」の安全性に関しても、「プロパンガス」と「都市ガス」では大きな違いがあります。
この性質の違いにより、設置すべきガス漏れ警報器の位置も異なります。
プロパンガスでは低い位置、都市ガスでは高い位置に設置されているはずです。
「類義語」―「LPガス」と「プロパンガス」の違い
「プロパンガス」は「LPガス(LPG)」とも呼ばれますが、
厳密には「LPガス」の中に「プロパンガス」が含まれます。
- 「LPガス」=液化石油ガスの総称(プロパン、ブタンなどを含む)
- 「プロパンガス」=家庭用として主に使用されるLPガスの一種
したがって、家庭で使われている「LPガス」はほとんどの場合、
「プロパンガス」であると考えて差し支えありません。
まとめ‐「プロパンガス」と「都市ガス」の違い/「原料と供給方法」の違いで区別
「プロパンガス」と「都市ガス」の違いは、日常生活に大きな影響を与える重要なポイントです。
「供給方法」や「熱量」、「料金」「災害時の対応力」など、それぞれにメリットとデメリットがあります。
自宅のガスの種類を理解することで、より安心・安全で効率的なガス利用が可能になります。

