【お寺】と【神社】の違い/「宗教と信仰対象」の違いで区別

「お寺」と「神社」の違いは、「宗教と信仰対象」の違いで区別します。

「お寺」と「神社」の違いは、「宗教と信仰対象」の違いで区別
「お寺」と「神社」の違いは、「宗教と信仰対象」の違いで区別

日本文化に深く根ざす「お寺」と「神社」。

似たような存在に見えますが、その違いは宗教や信仰対象にあります。

この記事では、「宗教」「信仰対象」「建物」「参拝方法」「聖職者」などの観点から、

「お寺」と「神社」の違いを分かりやすく解説します。

目次

「お寺」と「神社」の違いとは?

「お寺」と「神社」は、宗教・信仰・施設構造・礼拝方法など、多くの点で異なります。

以下の表で、主な違いを一覧で比較してみましょう。

項目お寺神社
宗教仏教神道
信仰対象仏(仏像)神(御神体)
建物の特徴山門・仏殿・塔・僧房など鳥居・参道・手水舎・本殿など
参拝方法合掌のみ(拍手なし)二礼二拍手一礼
聖職者僧侶・尼僧神職・巫女
願い事極楽浄土や現世の幸福現世の幸福
見えるもの仏像を拝観できることが多い御神体は非公開が多い
起源インド起源の仏教(6世紀に伝来)日本古来の信仰
「お寺」と「神社」の違いとは?

「宗教」の違いー「仏教」と「神道」

「お寺」は「仏教」の施設で、釈迦を開祖とする外来の宗教です。

インドで誕生し、中国や朝鮮半島を経て日本に伝わりました。

一方、「神社」は「神道」の施設で、日本古来の自然崇拝を基盤にした宗教です。

仏教では「悟り」や「輪廻からの解脱」が目的ですが、

神道では「現世の調和」や「自然との共生」が重視されます。

「信仰対象」の違いー「仏像」と「神様」

「お寺」では仏像(ご本尊)を祀り、信者はそれに手を合わせて祈ります。

仏像には釈迦如来、大日如来、観音菩薩など多様な種類があります。

対して「神社」では、神様(御神体)を祀りますが、

その姿は多くの場合、見ることができません。

御神体は鏡や剣、石など象徴的な物であることもあります。

「建物」の構造による違いー「山門」と「鳥居」

「お寺」には「山門」から入り、「仏殿」「金堂」「塔」「僧房」といった建築物があります。

これらは仏教の修行や礼拝に使われます。

一方、「神社」では「鳥居」が入口にあり、そこから「参道」「手水舎」「拝殿」「本殿」へと進みます。

全体的に神聖な空間として、シンプルな構造になっています。

「参拝方法」の違いー「合掌」と「二礼二拍手一礼」

「お寺」での参拝は、静かに両手を胸の前で合わせる「合掌」が基本。

拍手は打ちません。

「神社」では、「二礼二拍手一礼」が基本の作法です。

礼儀作法を守ることで、神様への敬意を表します。

「聖職者」の違いー「僧侶」と「神職」

「お寺」に勤めるのは「僧侶」や「尼僧」といった仏教の修行者です。

葬儀や法要を担当し、仏教の教えを広めます。

「神社」にいるのは「神職」や「巫女」です。

神事や祭祀を執り行い、地域の神様との橋渡し役を担っています。

「歴史的背景」に見る違い

「神仏習合」とは

江戸時代までは、「神仏習合」と呼ばれる宗教の融合形態が一般的でした。

「神仏習合」とは、日本古来の神道と中国大陸を経て渡来した仏教が融合した日本独自の宗教観です。

元々異なる宗教であった神道と仏教が一つの信仰体系として共存。

お寺の中に神社があったり、神社で仏像を祀ったりしていたのです。

しかし、明治時代に「神仏分離令」が出され、「お寺」と「神社」は明確に区別されるようになりました。

この歴史的経緯は、現在の宗教施設の役割にも影響を与えています。

「神仏習合」が現存する神社

以下に「神仏習合」が現存する神社として、

京都の八坂神社、東京の浅草寺・浅草神社、栃木県の日光東照宮を簡単にご紹介いたします。

八坂神社(京都府)

「神仏習合」が現存する神社:京都府の八坂神社

京都祇園に位置する八坂神社は、疫病除けの神・素戔嗚尊を祀る神社として知られていますが、

隣接する「圓山公園」には仏教寺院の「圓山大師堂」があり、神仏習合の名残を今に伝えています。

また、八坂神社の起源には仏教との関係を示す記録も残されており、

古来より仏教儀礼が神事と共に行われてきました。

さらに、神社境内にはかつて塔頭寺院が並んでいたとされ、

その名残が今日の境内構成にも反映されています。

祇園祭に見られる多様な宗教要素も、神仏習合の象徴的な文化遺産といえるでしょう。

浅草寺・浅草神社(東京都)

「神仏習合」が現存する神社:東京都の浅草寺・浅草神社

浅草寺は東京都最古の仏教寺院であり、観音菩薩を本尊としています。

隣接する浅草神社は、浅草寺の創建に尽力した三人の人物を神格化して祀っており、

両者は「三社様」として地域に深く根付いています。

神社と寺院が隣接して存在し、一体のように信仰されている様子は、まさに神仏習合の姿そのものです。

浅草神社の祭礼である「三社祭」では、仏教由来の観音信仰と神道儀礼が融合し、今なお両者の共存が体感できます。

都市化が進む東京の中心にあって、神仏習合の伝統が現代まで受け継がれている貴重な例です。

日光東照宮(栃木県)

「神仏習合」が現存する神社:栃木県の日光東照宮

日光東照宮は、徳川家康を神として祀る神社でありながら、境内には仏教的要素が色濃く残っています。

たとえば、薬師如来を祀る「薬師堂」や五重塔など、仏教建築や仏像が今なお併設されています。

創建当初から神仏が共に祀られており、豪華絢爛な建築様式や装飾にも仏教美術の影響が強く見られます。

明治の神仏分離以降も、宗教的境界が完全には消え去ることなく、

現在も「神社でありながら仏教の面影を残す」特異な存在として、日本の宗教融合の象徴的な遺産となっています。

「教会」や「モスク」との違い

「お寺」「神社」と並んで宗教施設として混同されやすいのが

「教会(キリスト教)」や「モスク(イスラム教)」です。

これらはそれぞれ異なる宗教の礼拝所であり、信仰対象や儀式もまったく異なります。

下記の表で違いを比較してみましょう。

宗教施設宗教名信仰対象代表的な儀式
お寺仏教仏(釈迦、菩薩など)合掌・読経・写経
神社神道神(八百万の神々)二礼二拍手一礼・神楽
教会キリスト教イエス・キリスト礼拝・祈祷・ミサ
モスクイスラム教アッラー礼拝(サラート)
「教会」や「モスク」との違い

まとめー「お寺」と「神社」の違い/「宗教と信仰対象」の違いで区別

「お寺」と「神社」は、見た目や雰囲気は似ていても、

宗教、信仰対象、参拝方法、建物、聖職者などにおいて明確な違いがあります。

それぞれの由来や宗教的背景を理解することで、日本の文化や信仰に対する理解もより深まるでしょう。

参拝の際には、その違いを意識することで、より敬意をもって接することができます。

「お寺」と「神社」の違いは、「宗教と信仰対象」の違いで区別
「お寺」と「神社」の違いは、「宗教と信仰対象」の違いで区別
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