
「山芋」と「長芋」の違いは、「総称か品種」の違いで区別します。




「山芋」と「長芋」は、どちらも粘りのある食感で人気の食材ですが、その違いをご存じですか?
どちらも「ヤマノイモ科」の芋ですが、実は「山芋」は総称、「長芋」はその一種です。
この記事では、両者の違いをわかりやすく解説します。
「山芋」と「長芋」の違い
「山芋」とは、ヤマノイモ科に属する芋類の総称です。
「長芋」「大和芋」「自然薯」などの品種をまとめて「山芋」と呼びます。
一方、「長芋」はその「山芋」の一種で、水分が多く粘りは少なめの芋です。
以下の表で「山芋」と「長芋」の特徴を比較してみましょう。
項目 | 山芋 | 長芋 |
定義 | ヤマノイモ科の芋類の総称 | 山芋の一種 |
含まれる品種 | 長芋、大和芋、自然薯など | 長芋のみ |
粘り | 品種により異なる (大和芋や自然薯は強い) | 比較的弱く、さらっとしたとろろになる |
水分量 | 品種により異なる | 多めでみずみずしい |
味わい | 甘みや風味が強い (特に自然薯) | あっさりしていて淡白 |
食感 | もっちり、粘りが強い | サクサクした歯ごたえが特徴 |
食べ方 | とろろ、揚げ物、焼き物など多様 | サラダ、和え物、生食も向く |
「粘り」と「食感」の違い ― 「水分量」と「調理方法」の違いで変化
「山芋」と「長芋」の最大の違いは、その粘りと水分量にあります。
「山芋」の中でも自然薯やつくね芋は粘りが非常に強く、
すりおろすと箸でもつかめるほどのとろろになります。
これに対し、「長芋」は水分が多く、すりおろすとさらさらとした軽やかなとろろになり、
他の食材ともよくなじみます。
「品種」の違いとその特徴 ― 「粘り」と「地域名」の違いで分類
「山芋」に含まれる代表的な品種と、その特徴を整理します。
品種名 | 特徴 | 向いている調理法 |
大和芋 | 粘りが強く、上品な甘み。関東・近畿で呼び方が異なる | とろろ、焼き物、つなぎ |
自然薯 | 日本原産で強い粘りと濃厚な風味が特徴。高価。 | 刺身、とろろ、磯辺揚げ |
いちょう芋 | 平たく広がった形。 粘りは中程度、あくが少なめ | とろろ、焼き物 |
つくね芋 | 丸くゴツゴツ、水分が少なく粘りが非常に強い | 揚げ物、磯辺焼き |
大薯(だいじょ) | ヤムイモの一種。 粘り強く、紫色の品種もある | すりおろし料理、見た目にこだわる料理 |
「山芋」は地域によって呼び方が異なる場合があります。
たとえば、関東ではいちょう芋を「大和芋」と呼び、
近畿ではつくね芋を「大和芋」と呼ぶなど、混同しやすい点に注意が必要です。
「山芋」の調理例
- すりおろして「とろろ汁」
- ふわふわの落とし揚げ
- もっちりグラタン
「長芋」の調理例
- 輪切りでソテーやステーキ
- 千切りでサラダ
- すりおろしてお好み焼きのつなぎに
また、加熱することで食感に変化が生まれます。
長芋は加熱でサクサクからホクホクまで幅広い変化を見せ、
山芋はとろみが増してモチモチした食感になります。
「やまのいも」「ヤムイモ」との違い
一見似た名前の「やまのいも」「ヤムイモ」ですが、
それぞれ意味や種類、使い方がまったく異なります。
以下でわかりやすく整理します。
「やまのいも(山の芋)」とは?
- 「やまいも」と混同されがちだが、実は「特定の品種(主に大和芋や自然薯)」を指すことが多い。
- 「やまのいも」は、特に粘りが非常に強く、すりおろすともちのようになる。
- 関西地方では「つくね芋」や「大和芋」のことを「山の芋」と呼ぶこともある。
「やまのいも」は、「山芋」の中でも特に粘りが強い品種の呼び名。
「ヤムイモ(Yam)」とは?
- アフリカ・東南アジア・中南米などが原産の芋。学名はDioscorea属。
- 日本の「山芋」とは全く別種の植物。
- 粘り気は少なく、加熱して主食として食べるのが一般的。
- 代表的な品種に、白ヤム、紫ヤム(ウベ)、黄ヤムなどがある。
「ヤムイモ」は日本の「やまいも」と名前は似ているが、分類も味も用途も異なる外国の芋。
3つの芋「山芋・やまのいも・ヤムイモ」の違い ― 一覧表
先にご紹介した「山芋」との違いを表にまとめました。
項目 | やまいも(山芋) | やまのいも(山の芋) | ヤムイモ(Yam) |
分類 | 総称 | 特定品種 (主に大和芋や自然薯) | 別種の芋 (Dioscorea属) |
原産地 | 日本 | 日本 | アフリカ・アジア・中南米など |
対象となる芋 | 長芋、大和芋、自然薯など | 大和芋、自然薯など | 紫ヤム、白ヤム、黄ヤムなど |
粘り気 | 中〜強 | 非常に強い | ほとんどない |
調理方法 | 生・加熱どちらも可 | 生・加熱どちらも可 | 加熱が基本 |
使い方の例 | とろろ、お好み焼き、漬物 | とろろ、和食の高級料理 | 主食(フフ)、ウベアイスなど |
見た目の特徴 | 細長い(長芋)/丸い(大和芋など) | 丸くゴツゴツしたものが多い | ゴツゴツ、紫や黄色のものも多い |
呼ばれ方の違い | 日常的・総称的な呼び名 | 関西・関東の一部で特定の芋を指すことが多い | 輸入食材としてスーパーや専門店で流通 |
「山芋」と「長芋」は代用できる?- 「調整次第」で代用可能なケースも
「長芋」を「山芋」の代わりに使用することは可能ですが、
粘りの強さや水分量が異なるため、食感や仕上がりに違いが出ます。
とろろ料理で「山芋」を使いたい場合、「長芋」では粘りが足りないと感じることも。
その場合は、だしを少なめにしたり、別の粘り気のある食材を加えたりすると良いでしょう。
反対に、粘りの強い「山芋」を「長芋」としてサラダなどに使うと、
ねばりが強すぎて食べにくくなる場合もあります。
調理方法やレシピに応じて、適切に使い分けることがポイントです。
まとめー「山芋」と「長芋」の違い/「総称か品種」の違いで区別
「山芋」と「長芋」は、どちらもヤマノイモ科の芋で、栄養や使い方も似ていますが、
「山芋」は総称、「長芋」はその中の一種です。
最大の違いは「粘り」と「水分量」にあり、調理法や食感にも大きな影響を与えます。
それぞれの特徴を知り、料理に合った使い方を選ぶことで、山芋料理の幅が広がります。
ぜひ今日から、違いを意識して楽しんでみてください。



