
「摘発」「検挙」「逮捕」の違いは、「目的」と「対象」で区別します。


用語 | 目的 | 対象 | 法律用語か |
摘発 | 犯罪事実の暴露 | 犯罪事実・不正行為 | × |
検挙 | 捜査対象の特定 | 容疑者(犯罪の疑いがある人物) | × |
逮捕 | 身柄拘束 | 容疑者(犯罪の疑いがあり、逃亡や証拠隠滅の恐れがある人物) | ○ |
「摘発」「検挙」「逮捕」の違いは、いずれも犯罪に関連する言葉ですが、
それぞれの「行為の目的と対象」、「法律用語か否か」という観点から明確に区別されます。
それぞれ意味や使われ方に違いがあるため、正しく理解することが重要です。
この記事では、「摘発」「検挙」「逮捕」の順に意味や使い分けを丁寧に解説します。
「摘発・検挙・逮捕」の違い
「摘発」とは?-犯罪事実の暴露と公表
「摘発」は、犯罪や不正行為の事実を明るみに出し、公にすることを意味します。
特徴として、「犯人が特定されていない段階でも使われる」ほか、
「警察や検察だけでなく内部告発者やメディアによって行われる」こともあります。
法律用語ではありませんが、社会的に重大な不正の公表に使われることが多く、ニュースでもよく目にします。
- 「税関が密輸行為を摘発した」
- 「労働基準監督署が違法残業を摘発した」
「検挙」とは?-捜査対象の特定
「検挙」は、犯罪に関与したとされる人物を捜査機関が特定し、捜査対象とする行為です。
逮捕と異なり、必ずしも身柄拘束を伴いません。
事情聴取で終わる場合も含まれ、報道や行政の現場で多用される言葉です。
法律用語ではなく、意味合いがやや曖昧になることもありますが、
一般的には「捜査が進展した段階」で用いられます。
- 「警察は暴走行為をした少年らを検挙した」
- 「容疑者は検挙されたが、任意で取り調べを受けた」
「逮捕」とは?-身柄拘束を伴う強制措置
「逮捕」は、警察や検察が「犯罪の疑いが濃厚な人物の身柄を拘束する」行為です。
刑事訴訟法に基づく「厳格な法律用語」であり、
令状による逮捕や現行犯逮捕など、厳しい要件が設けられています.
「逮捕」は犯人が確定したことを意味するわけではなく、
逃亡や証拠隠滅のおそれがある場合に限り実施されます。
- 「容疑者Aは詐欺の疑いで逮捕された」
- 「警察は強盗事件の主犯格を逮捕した」
「摘発」「検挙」「逮捕」の比較表
以下は、「摘発」「検挙」「逮捕」を比較した表です。
項目 | 摘発 | 検挙 | 逮捕 |
誰が | 捜査機関・内部告発者・報道など | 捜査機関 | 捜査機関 |
対象 | 犯罪事実・不正行為 | 容疑者 | 容疑者 |
行為の内容 | 犯罪事実を暴いて公表 | 犯罪者を特定し捜査 | 容疑者の身柄を拘束 |
法律用語か | × (行政・報道用語) | × (行政・報道用語) | ○ (刑事訴訟法に基づく) |
公表の有無 | 公表を目的とすることが多い | 公表されることが多い | 必ずしも公表されない |
「告発」との違い
「摘発」と似た言葉に「告発」がありますが、次のように明確な違いがあります。
用語 | 行為の主体 | 行為の内容 |
告発 | 被害者・一般人 | 捜査機関へ犯罪の通報 |
摘発 | 捜査機関・内部関係者など | 犯罪事実を暴いて公表する |
まとめ-「摘発」「検挙」「逮捕」の違いと使い分け/「目的」と「対象」の違い
「摘発」「検挙」「逮捕」はすべて犯罪関連用語ですが、
- 摘発:犯罪事実の暴露(主に公表目的)
- 検挙:容疑者の特定と捜査対象化
- 逮捕:容疑者の身柄拘束という法的措置
というように、「行為の目的・対象、法律用語としての位置づけ」が大きく異なります。
それぞれを正確に理解することで、ニュースや法的文脈の内容がより明確に把握できるようになります。


用語 | 目的 | 対象 | 法律用語か |
摘発 | 犯罪事実の暴露 | 犯罪事実・不正行為 | × |
検挙 | 捜査対象の特定 | 容疑者(犯罪の疑いがある人物) | × |
逮捕 | 身柄拘束 | 容疑者(犯罪の疑いがあり、逃亡や証拠隠滅の恐れがある人物) | ○ |