
「材料・原料・原材料・素材・資材」の違いは、
「形の残存と加工段階」の違いで区別します。


「材料」「原料」「原材料」「素材」「資材」は、すべて製品を作るための要素を指しますが、
それぞれ使われる文脈やニュアンスが異なります。
本記事では、それらを「形の残存」と「加工段階」という2つの軸から整理し、
迷わず使える判断基準を提示します。
5つの用語の定義と基本イメージ
まずは、それぞれの用語がどのような意味を持つのかを、簡潔な定義で確認しておきましょう。
用語 | 読み方 | 定義 |
材料 | ざいりょう | 製品の構成要素となるもので、原形をある程度とどめているもの |
原料 | げんりょう | 製品の製造に使われる、加工前の素材。 原形を失っていることが多い |
原材料 | げんざいりょう | 原料と材料を総称した言葉。製造に使われるすべての素材を含む |
素材 | そざい | 材料や原料の前段階。性質や品質が重要視される、より広義な素材全般 |
資材 | しざい | 製品の製造に必要な部品・中間製品・道具・機械などを広く含む補助的資源 |
「材料」と「原料」は“形が残るか”が判断基準
完成品に元の素材の姿が残るかどうかが、「材料」と「原料」を区別する重要な基準になります。
以下の表に違いを示します。
用語 | 加工状態 | 元の形の残存 | 代表例 |
材料 | 一次加工済み | 残る | 木材の柱、鉄板、野菜の切り身など |
原料 | 未加工・自然由来 | 残らない | 原油、鉱石、綿花、丸太、小麦など |
「原材料」とは?ー便利な包括語
「材料」と「原料」の区別がつきにくいときでも、「原材料」という言葉なら一括で表現できます。
特に製造業や会計の現場で重宝され、購買・在庫管理・原価計算の共通用語として用いられます。
以下の表では、「原材料」がどのような素材を含むのか、具体例とともに整理しています。
分類 | 説明 | 具体例 |
原料系原材料 | 自然素材・未加工素材 | 鉱石、原油、綿花、サトウキビ、小麦、天然ゴムなど |
材料系原材料 | 一次加工済みで形が残る素材 | 鉄鋼コイル、アルミ板、ガラス板、合板、木材など |
化成品系 | 原料由来の合成素材 | 合成樹脂ペレット、ナイロン糸、着色顔料など |
購入品 | 外部から調達した加工素材の総称(広義) | ネジ、パッキン、接着剤、導線など |
※「原材料費」として勘定されるものは、上記すべてを含む場合があります。
工場では「直接原材料」と「間接原材料」に分けて管理されることもあります。
「素材」と「資材」は“加工の深さ”で分かれる
「素材」は未加工の自然由来の物質、「資材」はそれらを加工・道具化したものを指します。
以下の表で違いを視覚的に把握しましょう。
用語 | 加工段階 | 役割 | 代表例(Tシャツ製造) |
素材 | 加工前 | 性質を活かす元となるもの | 綿花、ウールなど |
資材 | 加工済・補助具 | 工程で使用される中間素材・道具 | 生地、縫製糸、ミシンなど |
具体的な事例で比較(木造住宅・食品)
文脈によってこれらの用語がどう使い分けられるかを、
木造住宅と食品の例で具体的に見てみましょう。




類義語とのすみ分け
似たような意味を持つ用語の違いについても整理しておくと、
用語の使い分けがより正確になります。
用語 | 説明 |
副資材 | 接着剤、塗料、梱包材など、資材を補助する消耗品 |
食材 | 「材料」の料理バージョン。 料理に使う肉・野菜・調味料など |
資源 | 自然界の供給源。 人の手が入る前の段階で、「原料」より前の存在 |
「素材」と「材料」はどう違う?
原料から製品になるまでの各段階で、呼び方が変わります。
以下の流れで違いを確認しましょう。


迷わないための判断基準まとめ
最後に、用語選びで迷ったときのために、判断基準を簡潔にまとめておきます。
チェック項目 | 該当用語 |
完成品に姿が残る | 材料 |
原形が消える | 原料 |
加工前の自然素材 | 素材 |
工程中の補助具 | 資材 |
全体をまとめて | 原材料 |
まとめ―【材料・原料・原材料・素材・資材】の違い/「形の残存と加工段階」の違いで区別
- 材料と原料:形が残るかで判断
- 素材と資材:加工の深さで判断
- 原材料:両者をまとめて扱える便利な用語
適切な言葉を選ぶことで、製造記録や設計書、企画書などでも情報が正確に伝わり、
ビジネス上の齟齬を防ぐことができます。

